一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 治療1
PP277
 
Tiotropium bromide hydrate(Ti)吸入の気道分泌物抑制作用について
細川芳文1,2),岡本直樹1,2),伊藝孔明1,2),林健太郎1,2),福永牧子1,2),佐藤真紀1,2),児浦利哉1,2),庄田利明1,2),橋本 修2)(日本大学練馬光が丘病院内科1),日本大学内科学系呼吸器内科2)

[目的]COPDに対してTi吸入を行うと,気道に分布するムスカインM3受容体に働いて気道を拡張するとされる.しかし,Tiは抗コリン薬であることから,口渇,喀痰の減少がみられる.気管支拡張作用に加え気道分泌物抑制作用も有する.末梢気道の分泌物抑制はmeniscus formationを減しairway trappingを減少させるのではないかと推察し,Ti吸入前後のATI(Air-trapping index)を中心に検討した.[方法]COPD病期分類II期以上の16例を対象とした.治療前とTi吸入のみ1年後のATI,1秒量(FEV1)およびV50/25を比較検討した.ATIは呼吸機能検査ガイドライン(日本呼吸器学会編2004,pp22.)から引用した.その求め方はATI(%)=[(VC-FVC)/VC]×100である.[成績]ATIの減少,FEV1およびV50/25の増加はいずれも有意差がみられ,ATIは15.88から7.80へ48.2%の減少,FEV1は1299から1579mlへ21.6%の増加,V50/25は2.14から2.84へ28.0%の増加であった.[結語]Ti吸入による変化はFEV1やV 50/25の改善よりATIの減少の方が大きく,meniscus formationのメカニズムの観点から,気道分泌物を抑制し,ATIを減少させ,自覚症の改善をもたらすと示唆された.

日本呼吸器学会雑誌 第49巻増刊号 p.(2011)