一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 病理,病態生理2
PP1015
 
COPD症例では血清ACE活性値が低下し,肺血管床減少の指標となりえる
小林 淳,千葉喜三,中野康宏,北村 諭(南栃木病院呼吸器内科)

【背景】以前の本学会で著者らはCOPD症例では血漿中のPGI2代謝産物の6-ketoPGF1αが低下し,肺血管床の減少を評価できる可能性を示唆した.今回はACEが血管内細胞に局在する酵素であるため,その血清酵素活性が肺血管床依存性に変化すると仮定し,血清ACE活性値が肺血管床が減少するCOPDの病態で低下するか否かを検討した.【対象・方法】COPDの合併がない対称群40例(平均年齢71.1歳)と中等症以上のCOPD症例45例(平均年齢73.9歳)を対象とし,COPD症例は,全例に肺機能検査とthin slice CTを施行して評価した.【結果】血清ACE活性値は,対照群で20.5±4.1 IU/L に対して,COPD群では13.6±3.7 IU/L と有意に低値を示した(p<0.01).【考察】COPD群ではACE活性値が低値を示し,肺胞破壊による肺血管床減少の程度を評価する指標として,血漿6-ketoPGF1αのみならず,より簡便に測定可能な血清マーカーである血清ACE値も有用であることが示唆された.今回は遺伝子多型によるACE活性値の差異については検討できなかったが,今後は個々のCOPD症例で経時的な肺胞構造の破壊の評価,つまりCOPDの進展度を血清ACE活性値で評価できるか否かを検討したい.

日本呼吸器学会誌 第1巻増刊号 p.351(2012)