一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 病理,病態生理2
PP1018
 
血清TRXと高感度CRPを用いた健常喫煙者とCOPD患者の比較検討
伊藤 亘,竹田正秀,糸賀正道,茆原真実,小林良樹,守時由起,植木重治,茆原順一(秋田大学感染・免疫アレルギー・病態検査学)

【目的】喫煙は肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)に有害あり,発症の最大危険因子であることは広く知られており,さらに,COPDは活性酸素なども含めた慢性炎症性疾患と考えられている.今回我々は,炎症マーカーの代表である血清中の高感度CRP(hs-CRP)とアンチオキシダント作用のあるチオレドキシン(TRX)がCOPD患者ならびに健常喫煙者の比較検討を行った.【方法】COPD患者と健常人(喫煙者および非喫煙者)の血清hs-CRPとTRXをELSAにて測定した.【結果と考察】CDPD患者のhs-CRPとTRXは健常非喫煙者および健常喫煙者と比較して有意な高値を示し,特に男性のTRXにおいては,健常非喫煙者<健常喫煙者<COPD患者という関係が強く観察され,感度と偽陽性率を用いたROC曲線では,AUC(area under the curve)が0.89となり,TRX値の健常喫煙者とCOPD患者間のcut-off値は70ng/mLとなった.喫煙による気道障害の進行度や,COPD発症前段階を把握するためのバオマーカーとしての可能性が期待された.

日本呼吸器学会誌 第1巻増刊号 p.352(2012)