一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 病理・病態生理
PP633
 
COPDの肺構造と臨床経過との関連
倉島一喜,高久洋太郎,太田池恵,河手絵理子,蘇原慧伶,小田島丘人,田村仁樹,石黒 卓,鍵山奈保,高柳 昇,柳沢 勉,杉田 裕(埼玉県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科)

【目的】肺気腫の構造的特徴と急性増悪,1秒量の経年変化との関連を調べる.【方法】65例のCOPD患者において右B1-B10気管支の中枢,末梢,中間域で気道に直交する3cmの円を設定し,中心気道の内径,%LAA,気管支数,血管数を測定した.葉別の画像パラメーターと急性増悪,1秒量の経年変化との相関について検討した.また中枢気道閉塞型肺気腫(airway lumen obliterated emphysema: ALOE)の有無による臨床所見の違いも検討した.【成績】増悪頻度および肺炎頻度は%LAAと相関し,特に下葉との相関が最も強かった.1秒量の経年低下は気道周囲の気道と血管の数が少ないほど大きかった.前回,気道周囲の気道数と血管数の減少はI期,II期までが大きいことを報告しており,COPD初期の1秒量低下を示唆する結果であった.ALOEは下葉によく見られるが,ALOEの数は1秒量と強く相関し,ALOEのある群ではない群に比べて増悪頻度,肺炎頻度が高かった.【結論】下葉の気腫は増悪頻度と相関し,気道周囲の気管支,血管数は1秒量の経年変化と関連した.肺気腫のphenotypeの一つであるALOEは閉塞性障害と増悪頻度に相関した.

日本呼吸器学会誌 第4巻増刊号 p.269(2015)