一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 病理・病態生理
PP639
 
低肺機能と内臓脂肪炎症に関する検討
河瀬成穂1),大西広志1),宮本真太郎1),窪田哲也1),並川 努2),花崎和弘2),横山彰仁1)(高知大学血液・呼吸器内科学1),高知大学外科学2)

【背景】慢性閉塞性肺疾患は全身性炎症性疾患と捉えられている.一方,健常人においても肺機能低下は全身性炎症と関係があるといわれており,我々は内臓脂肪炎症との関わりについて検討してきた.今回,腹部CTで測定した内臓脂肪面積も含め,低肺機能と内臓脂肪炎症の関係について検討した.【方法】当院で腹部の手術を受け,内臓脂肪採取の同意を取得した117例を対象とした.術中に採取した内臓脂肪中のマクロファージと肺機能との関連について検討した.また,臍部の腹部CTで内臓脂肪の面積を測定し,肺機能や内臓脂肪炎症との関係について検討した.【結果】33例(28.2%)で閉塞性換気障害を認めた.内臓脂肪マクロファージと内臓脂肪面積は,閉塞性障害の有無で差を認めなかった.内臓脂肪マクロファージは内臓脂肪面積と有意な正の相関関係にあり(r=0.18, p=0.047),%VCと有意な負の相関関係にあった(r=-0.23, p=0.01)が,内臓脂肪マクロファージに関わる因子について多変量解析を行うと,%VCとBMIが独立した因子であり,内臓脂肪面積は独立した有意な因子ではなかった.【結論】内臓脂肪炎症は腹部肥満とは独立して低肺機能と関係があることが示唆された.

日本呼吸器学会誌 第4巻増刊号 p.270(2015)