一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 病理・病態生理
PP640
 
COPD患者におけるPaO2の経年変化
上桝 潔,佐藤 晋,佐藤篤靖,伏屋芳紀,谷村和哉,長谷川浩一,平井豊博,三嶋理晃,室 繁郎(京都大学呼吸器内科学)

【背景と目的】COPD患者において低酸素血症は重大な病態であるが,PaO2の自然経過は明らかではない.安定期COPD患者のPaO2を縦断的に解析し経年変化を検討した.【方法と結果】当院のCOPD増悪観察コホート研究に登録した安定期COPD患者で,HOT導入済み患者を除き2.5年以上PaO2を観察し得た135症例を解析対象とした.平均観察期間5.3年(8.0回),観察開始時%FEV1 61.4%,PaO2 78.4Torrであった.一次線形回帰によりPaO2経年変化(PaO2 slope)を算出した.PaO2slopeは中央値-0.08Torr/yearと全体では軽度の低下傾向を認めたが,PaO2が経時的に上昇する群も観察された.PaO2 slopeの分布から悪化群,安定群,改善群の3群に分類し各種臨床指標の群間比較を行ったが観察開始時の呼吸機能指標に有意な差はなかった.但し改善群ではPaO2低値,PaCO2の経年的低下を認めた.【考察と結論】COPD患者のPaO2の自然経過は多様で,改善傾向を示す群も存在する.改善群はPaCO2の低下と関連しており,長期的な換気亢進の進行が示唆された.

日本呼吸器学会誌 第4巻増刊号 p.270(2015)