セッション名 | COPD 病理・病態生理 |
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【背景・目的】急性増悪はCOPD患者の肺気腫を進行させると報告されているがその機序は明らかではない.肺炎球菌は急性増悪の主要な起因菌である.エラスターゼ誘導肺気腫マウスに肺炎球菌を経鼻感染させたCOPD急性増悪モデルを作成し,感染後に肺気腫が進行するか否か,さらにその機序を検討する.【方法】8週齢雌C57BL/6マウスにエラスターゼ5単位または同容量のPBSを経気道投与し10週後に肺炎球菌を経鼻投与した.気腫化の程度は,micro CTを用いて継時的にLAA%を測定した.感染後14日までの気管支肺胞液中の炎症細胞数と分画・炎症性メディエーターの定量,肺組織のMMPsの免疫染色,mRNAの定量を行った.次にデキサメタゾン又はMMPs阻害薬の効果を検討した.【結果】肺気腫マウスでは肺気腫のないマウスに比べ感染後の生存率が低く炎症細胞浸潤が強く肺気腫が進行した.肺内のマクロファージ,リンパ球,上皮細胞にMMP-12発現が亢進した.デキサメタゾンは炎症細胞浸潤を抑え生存率を改善するもMMP-12発現は抑えず肺気腫は進行した.MMPs阻害薬は生存率を改善し肺気腫の進行も抑制した.【結論】COPD急性増悪後の気腫化進行にMMPsが関与している.