セッション名 | COPD 病理・病態生理 |
---|
【背景】喫煙刺激による細胞老化の亢進はCOPD病態で重要である.傷害蛋白や小器官の蓄積はライソゾーム機能異常を反映し,細胞老化の特徴的な所見である.TFEBはライソゾームの機能制御と生合成,さらにはオートファジー系を含めた細胞内蛋白分解系の中心的な調節因子である.我々はCOPD病態におけるTFEBの役割を検討した.【方法】COPD患者肺におけるTFEBの発現を評価した.TFEB機能は過剰発現とノックダウンで検討し,細胞老化はSA-β-gel染色とp21発現で評価し,ライソゾーム機能はLysoTracker染色で検討した.【結果】COPD患者由来の肺ホモジネートにおいて,TFEBの発現量は低下していた.CSEは気道上皮細胞に細胞老化を誘導し,同時にTFEB発現を低下させた.TFEBの過剰発現はCSE誘導性気道上皮細胞老化を抑制し,逆にTFEBノックダウンは細胞老化を亢進させた.TFEBノックダウンはLysoTracker染色を減弱させた.【結論】TFEBの発現低下が,ライソゾーム機能抑制によりCOPD病態における細胞老化の亢進に関与する可能性が示唆された.