一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 呼吸機能
PP925
 
喘息とCOPDにおける呼気―吸気での呼吸リアクタンスの差の縦断的検討
鎌田貴裕,金子正博,山添正敏,高田寛仁,吉積悠子,森田充紀,山下修司,古田健二郎,木田陽子,冨岡洋海(神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科)

【背景と目的】Forced oscillation technique(FOT)で測定される呼吸リアクタンスの呼気-吸気での差(ΔXrs)は喘息とCOPDの鑑別に有用であり,COPDにおいてその病期と関連すると報告されている.しかしその経時的変化の検討はない.本検討の目的は,喘息とCOPDでのΔXrsの経時的変化,さらにΔXrsとCOPDの病期の関係を明らかにすることである.【方法】2013年4月~9月に当院に通院していた喘息およびCOPD症例(250例)に対し6ヶ月ごとにFOT,FEV1を評価した.2年以上経過を追うことのできた喘息93例,COPD57例を対象に経年変化量を一次回帰直線の傾きから求め喘息とCOPDの比較,COPDの病期ごとの比較を行った.【考察】参加時のΔX5はCOPDで有意に低く経年的に有意に悪化した.その他の指標の経年変化は有意な差を認めなかった.COPDの重症度分類はGOLD stage I/II/III/IV=7/23/25/2であった.参加時のCOPDの病期別のΔX5はI期,II期に比べIII期で有意に低く,その悪化はI期,II期,III期の順で有意に早かった.【結語】ΔX5は喘息とCOPDの鑑別だけでなくCOPDの長期評価に有用な可能性がある.

日本呼吸器学会誌 第6巻増刊号 p.318(2017)