一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 呼吸機能
PP926
 
N2微分波形分析法はSteepパターンのCOPDでもclosing volume(CV)の評価を可能にする
和田晋一1),閔庚火華2),池田宗一郎3),小河佳織1),今井 正1),佐藤 功4)(香川県立保健医療大学臨床検査学科1),市立伊丹病院呼吸器内科2),大阪医科大学呼吸器内科3),香川県立保健医療大学4)

【背景】closing volume(CV)曲線をN2微分波形分析法で解析すると振動波の振幅から第III相とIV相を簡便に見分けることができる(2015,臨床病理).COPD患者の中に第III相が急峻(Steepパターン)でCVが測定できない例がよく経験される.【目的】N2微分波形分析法を用いてSteepパターンのCVを評価する.【対象と方法】SteepパターンのためCVを評価できなかったCOPD患者14例を対象とした.CV曲線のN2濃度を肺気量で微分したN2微分波形を作成し振幅差からCV値を計測した.【結果】14例中12例においてCV値を検出することができ,CV値は平均1.23±0.59L,CV/VC(%)は平均39.7%±13.7%(対予測比155.0%)であった.第III,IV相の各△N2とCV/VC(%)の間に相関はなかった.OI(obstructive index),FEV1,%FEV1はCV/VC(%)と有意な相関(OI:r=0.690,FEV1:r=-0.621,%FEV1:r=-0.675,p<0.05)があった.【結語】1.N2微分波形分析法はSteepパターンのCOPD患者でもCVが検出できる.2.N2微分波形分析法のCV値は末梢気道閉塞を反映していることが示唆された.3.△N2とCVは異なる生理的機構を反映している.

日本呼吸器学会誌 第6巻増刊号 p.318(2017)