一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPDの病因と病態生理
MS4-5
 
活性窒素種のCOPD病態への関与
小荒井晃,一ノ瀬正和,杉浦久敏,戸蒔雅文,小川浩正,駒木祐一,白土邦男,服部俊夫(東北大学感染症・呼吸器内科)

 近年、COPDの病態形成において活性窒素種の重要性を示唆する報告が多数認められる。すなわちCOPD患者の気道および肺ではスーパーオキサイド(O2-)や一酸化窒素(NO)を始めとするガス状メディエーターが過剰産生されており、O2-とNOが速やかに反応してより反応性の高いパーオキシナイトライトを含めた活性窒素種を形成する。活性窒素種それ自体細胞傷害をおこし、さらに蛋白酵素を酸化し酵素活性を変化させ二次的に炎症を来すると考えられている。我々はこれまでCOPD患者において喀痰細胞の免疫染色では誘導型NO合成酵素(iNOS)および活性窒素種のマーカーであるニトロチロシン(NT)が増加していることを示してきた。さらにステロイド投与により喀痰細胞のiNOSやNTは減少し、その減少程度はFEV1.0および気道過敏性の改善程度と有意な相関が認められた。また、COPD患者の喀痰中では内因性O2-産生酵素であるキサンチンオキシダーゼ(XO)の活性が増大しており、XOの阻害剤であるアロプリノール4週間内服により気道内XO活性低下とNT産生量の減少を示すことも報告した。本発表ではこれら活性窒素種のCOPD病態への関与とその制御による新治療の可能性について述べる。

日本呼吸器学会雑誌 第41巻増刊号 p.28(2003)