一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 喘息 3
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抗原チャレンジによる気道炎症がおこす気管支喘息患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)中トロンビン(Tbn)活性上昇と気道リモデリングの関連
寺田正樹1),長谷川隆志1),吉澤弘久1),下条文武1),鈴木栄一2),E.A.B. Kelly3),N.N. Jarjour3)(新潟大学内部環境医学講座(第二内科)1),新潟大学医歯学総合病院総合診療部2),ウイスコンシン大学医学部3)

【背景】血管内皮,白血球,間葉系細胞に対する作用を介してTbnは気道炎症とリモデリングに重要な役割を果たしている可能性がある.【目的】喘息患者の気道炎症に対するTbnの影響を検討する.【対象と方法】1.アトピー性喘息患者19人から得たsegmental bronchoprovocation前(Day0),及び48時間後(Day2)のBALF中Tbn活性を測定し,2.BALF中Tbn活性と各種サイトカイン,増殖因子との相関を検討した.さらに,3.線維芽細胞増殖能に対するDay0およびDay2のBALFの影響を検討した【成績】1.Day2のBALF中Tbn活性はDay0より有意に上昇した.2.Day2のBALF中Tbn活性はDay2のBALF中interleukin-5,transforming growth factor-β1,fibronectin,tissue factorと正の相関を示した.3.Day2のBALFは正常ヒト線維芽細胞の増殖を刺激し,Tbnインヒビター(recombinant hirudin)はこの増殖を有意に抑制した.【結論】喘息患者の気道炎症では,抗原刺激によるTbn活性上昇が線維芽細胞などの間葉系細胞に影響を与えている可能性が示唆された.

日本呼吸器学会雑誌 第42巻増刊号 p.103(2004)