一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 喘息 3
90
 
重症喘息における活性酸素・窒素種の検討
秋田剛史1),杉浦久敏1),駒木裕一1),小川浩正1),戸蒔雅文1),小荒井晃1),北室知巳1),田村 弦1),服部俊夫1),一ノ瀬正和2)(東北大学感染症・呼吸器内科1),和歌山県立医科大学第三内科2)

 重症喘息では気道リモデリングとステロイド低感受性のメディエーターがその病態に関与していると考えられる.本研究では軽症喘息と重症喘息において,気道局所で産生されるメディエーターを評価し,重症喘息に関与する可能性について検討した.軽症喘息8名,重症喘息7名を用い,呼吸機能,呼気一酸化窒素(NO)濃度,誘発喀痰を施行した.重症度の判定はGINAのガイドラインを用いた.重症群は軽症群に比べて呼気NO濃度が有意に高値であった(p<0.01).活性酸素の産生酵素であるキサンチンオキシダーゼ活性は重症群で有意に高値であった(p<0.01).また喀痰細胞中の誘導型NO合成酵素陽性細胞数,ニトロ化ストレスの指標であるニトロチロシン陽性細胞数はいずれも重症群で有意に高値であった(p<0.05, p<0.05).一方,好酸球性炎症の指標としてのIL-4,IL-5,喀痰好酸球数も両群間で有意差がなかった.重症喘息の気道炎症の指標として好酸球性のマーカーより活性酸素・窒素種の測定が有用であり,重症喘息のメカニズムに活性酸素・窒素種が関与している可能性が示唆された.

日本呼吸器学会雑誌 第42巻増刊号 p.103(2004)