一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 喘息 3
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小児気管支喘息の吸入ステロイド導入前後の喀痰中好酸球比率の変化
高増哲也,染谷研一,栗原和幸(神奈川県立こども医療センターアレルギー科)

【緒言】気管支喘息の病態において好酸球性炎症が重要であり,局所の炎症を制御するためには吸入ステロイドを予防治療として早期に導入することが推奨されている.また,誘発喀痰は気道局所の評価に有用であるといわれている.そこで小児の気管支喘息患者で吸入ステロイドを導入する前後の誘発喀痰中細胞の変化を検討した.【方法】対象は当科受診中の気管支喘息の小児で,予防治療が不十分と判断され,吸入ステロイドを導入することになった患者15名.吸入ステロイド開始前と開始1~2ヶ月後に,喀痰を採取し比較した.喀痰は4.5%食塩水吸入により誘発して採取,dithiothreitolで処理,濾過,遠心し,Eosin染色で細胞診を行い,好酸球の比率を検討に用いた.【結果】全例臨床症状の改善を認めた.喀痰中の好酸球の比率は前21%,後9%(p<0.05)と有意な減少を認めた.【結語】誘発喀痰を用いることで,吸入ステロイド導入による気道局所の好酸球炎症の程度の減少が確認できる.さらに症例を追加して検討する予定である.

日本呼吸器学会雑誌 第42巻増刊号 p.104(2004)