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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Staphylococcus argenteusの検出状況に関する後方視的検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
寺本 侑弘1), 原 祐樹1), 山田 直輝1), 浅井 幸江1), 野村 勇介1), 冨田 ゆうか2) |
所属 |
1)名古屋第二赤十字病院医療技術部臨床検査科
2)名古屋第二赤十字病院感染制御部 |
発行 |
臨床微生物:32(1),29─32,2022 |
受付 |
令和3年6月17日 |
受理 |
令和3年8月16日 |
要旨 |
Staphylococcus argenteusはStaphylococcus aureusに集落や生化学性状が類似しているため,S. aureusとの誤同定や,Coagulase-negative staphylococci(CNS)と誤認される場合がある。しかし近年,質量分析法による同定が可能となり,当院でも検出が可能となった。今回当院で検出されたS. argenteusに関して検討を行ったので報告する。2019年4月~2020年6月に患者材料から分離されたS. aureusおよびS. argenteus,1,101件を対象とし,解析を行った。S. aureusは1,081件(98.2%),S. argenteusは20件(1.8%)であった。S. argenteusが検出された患者に関しては,男性:9例,女性:11例,年齢層は1~96歳(中央値79歳)であった。検出材料に関しては,喀痰:11例(50.0%),膿:4例(18.2%),血液:2例(9.1%),創部:2例(9.1%),その他:3例(13.6%)であった。薬剤感受性試験を行ったのは16例で,メチシリン感性:15例(93.75%),耐性:1例(6.25%)であった。S. argenteusの検出傾向を解析すると,性別間の差はないが,高齢者および喀痰や膿からの検出が多く,S. aureusと比較するとメチシリン耐性率は低いと考えられた。 |
Keywords |
Staphylococcus aureus complex, Staphylococcus argenteus, 質量分析法 |
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