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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
OXA-181産生Escherichia coliによる急性胆管炎の一例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
田口 裕大1), 澤井 恭兵1), 菅野 のぞみ1), 工藤 礼子1), 高橋 俊司1), 村井 太一2), 児玉 文宏3), 永坂 敦3), 坂本 裕美子4) |
所属 |
1)市立札幌病院検査部
2)市立札幌病院消化器内科
3)市立札幌病院感染症内科
4)札幌市衛生研究所 |
発行 |
臨床微生物:32(1),50─56,2022 |
受付 |
令和3年5月10日 |
受理 |
令和3年9月2日 |
要旨 |
今回,OXA-181カルバペネマーゼ産生Escherichia coliによる急性胆管炎を経験した。患者は80代女性。ガイドラインに基づく適正な重症度評価とソースコントロールにより,抗菌薬の投与を最小限に抑えて治癒に至ることができた。OXA-48-likeカルバペネマーゼ産生菌は,Klebsiella pneumoniaeやE. coliに多く,急性胆管炎の原因菌の上位菌種と一致する。そのためOXA-48-likeカルバペネマーゼ産生遺伝子の拡散に伴い,本酵素を産生する菌による急性胆管炎症例も増加することが予想される。
OXA-181カルバペネマーゼはペニシリン系,カルバペネム系に対しては分解活性を持つ。しかし広域セファロスポリンは分解しないとされ,ESBLの同時産生がなければ,これらを治療の選択肢に加えられる可能性がある。しかし,本症例の分離株はMIC値や表現型のキットを用いても,ESBL産生性を判断できなかった。酵素活性に基づく,治療に有益な報告を行うためには,検査室で行える遺伝子検査を充実させる必要があると考えられた。 |
Keywords |
抗菌薬適正使用, OXA-48-likeカルバペネマーゼ, OXA-181カルバペネマーゼ, Carbapenemase producing Enterobacterales, 急性胆管炎 |
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