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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Pseudomonas aeruginosaにおけるGES型βラクタマーゼ遺伝子の保有状況
論文言語 J
著者名 戸田 宏文1), 久保 修一1), 田中 裕滋2), 上硲 俊法1,2), 吉田 耕一郎3)
所属 1)近畿大学病院中央臨床検査部
2)近畿大学医学部臨床検査医学
3)近畿大学病院安全管理部感染対策室
発行 臨床微生物:32(1),57─60,2022
受付 令和3年6月12日
受理 令和3年7月30日
要旨  本研究では,Pseudomonas aeruginosaにおけるGES型βラクタマーゼ遺伝子の保有状況の調査を行った。2016年から2018年に分離されたP. aeruginosa 775株の内,CAZのMICが16 μg/mL以上を示した46株(5.9%)について,カルバペネマーゼ産生の表現型試験とカルバペネマーゼ遺伝子の検索を行った。カルバペネマーゼ産生の表現型試験は,mCIM陽性は0株(0.0%)でCIMTris陽性は3株(0.4%)であった。PCRによるカルバペネマーゼ遺伝子の検索では,blaGES-1が2株(0.3%),blaGES-5が1株(0.1%),およびblaVIM-2 typeが2株(0.3%)であった。blaGES-5保有P. aeruginosaが検出された症例は,臨床経過中にblaGES-1の493番目のグリシンがアデニンに置換され,blaGES-5に変化していた。blaGES-1ならびにblaGES-5の遺伝子型は,いずれもST235-POT型205-58であった。GES型βラクタマーゼ遺伝子はプラスミドを介して様々な菌種に拡散する危険性があり,簡便で高感度な表現型の確認方法と遺伝子学的な検証ツールを整備して,様々な菌種におけるGES型βラクタマーゼ産生菌の監視を行う必要があると考える。
Keywords Pseudomonas aeruginosa, blaGES type, blaGES-5
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