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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 病原体核酸検査の精度管理―SARS-CoV-2を中心に―
論文言語 J
著者名 青木 弘太郎, 石井 良和
所属 東邦大学医学部微生物・感染症学講座
発行 臨床微生物:32(2),85─93,2022
受付 令和3年12月28日
受理
要旨  中国の武漢で発生した原因不明の肺炎病原体は,次世代シークエンシング解析により全ゲノム配列が明らかとなり,2020年1月に公開された。その病原体はsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)と呼ばれ,全ゲノム配列情報に基づいてreverse-transcription TaqMan real-time PCRや等温増幅法による核酸増幅法(以下,PCR検査)が迅速に構築された。現在,PCR検査は新型コロナウイルス感染症に係る病原体核酸検査として世界中で汎用されている。これまでに,多数のSARS-CoV-2PCR検査法が開発・使用されているが,その性能は均一ではない。任意に試薬を組合せて構築される自家調製検査法は,その性能の妥当性を確認して使用しなければならない。検査前,検査,検査後プロセスのうち,多くのPCR検査で使用されるキットは検査プロセスが商品として発売されており,研究使用限定試薬あるいは体外診断用医薬品であっても,任意の核酸抽出法と組合せる場合はその妥当性の確認が必要である。検査実施施設は検査の質を確保するため,日々の内部精度管理により問題点を早期に察知・是正し,外部精度管理に積極的に参加して自施設の検査レベル向上に努めることが重要である。
Keywords SARS-CoV-2, PCR, RT-qPCR, 内部精度管理, 外部精度管理
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