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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Candida血症におけるC. glabrataとnon- C. glabrataの血液培養ボトル発育特性の検討
論文言語 J
著者名 手島 裕治1), 的野 多加志2), 古野 貴未1), 古賀 秀信3), 秋永 理恵1)
所属 1)飯塚病院中央検査部
2)飯塚病院感染症科
3)飯塚病院臨床研究支援室
発行 臨床微生物:32(4),234─237,2022
受付 令和4年3月25日
受理 令和4年5月31日
要旨  Candida血症においてC. glabrataは他のCandida属より培養陽性時間が延長する傾向や,嫌気環境でも発育可能等の特徴がある。これらの特性よりC. glabrataの推定が可能であるか否かを後方視的に評価した。
 2014年1月から2018年10月までにBACTEC FXを使用して,血液材料から検出されたC. glabrata群36株,non-C. glabrata群40株の計76株を対象とした。嫌気ボトルのみ陽性となるパターンは,C. glabrata群がnon-C. glabrata群よりも有意に多く(41.7% vs. 0.0%)(p<0.001),C. glabrata群で嫌気および好気ボトルが共に陽性となった11例のうち,81.8%は嫌気ボトルが先行して陽転していた。また,培養陽性時間はnon-C. glabrata群(中央値35.6時間)と比較してC. glabrata群(中央値47.0時間)で有意に延長していたが(p=0.035),培養陽性時間を用いたC. glabrataの診断精度はAUC 0.64(95% CI:0.52-0.77)であった。
 BACTECFXを用いた血液培養検査において嫌気ボトルで陽転しやすいC. glabrata群の発育特性は,C. glabrataの推測ならびに治療薬選択に貢献できうる情報であると示唆される。
Keywords Candida glabrata, Candida血症, BACTEC FX
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