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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Staphylococcus argenteus ST2250によるバスキュラーアクセス感染症の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
金子 奈緒実1), 伊藤 志昂1,2), 大塚 昌信1,2), 吉田 美江子1), 中山 晴雄2) |
所属 |
1)東邦大学医療センター大橋病院臨床検査部
2)東邦大学医療センター大橋病院感染対策室 |
発行 |
臨床微生物:32(4),252─256,2022 |
受付 |
令和3年11月19日 |
受理 |
令和4年5月19日 |
要旨 |
Staphylococcus argenteusはStaphylococcus aureusから分類された新たなブドウ球菌種である。S. aureusと生化学的性状が極めて類似しており,この種を正しく識別することは日常的な検査では困難である。今回我々は,S. argenteus ST2250によるバスキュラーアクセス感染症の症例を経験した。本症例はS. aureusに特徴的な色素産生が認められなかったことから本菌の可能性を疑い,Non-Ribosomal Peptide Synthetase(NRPS)遺伝子の増幅産物およびrpoB遺伝子の塩基配列を確認しS. argenteusと再同定された。Multi-locus sequence typing(MLST)解析の結果,本菌は日本やタイをはじめ多くの地域で分離されているST2250に属するクローン株であることが判明した。今後本菌が地域および医療関連感染に及ぼす臨床的影響を注視していく必要がある。 |
Keywords |
Staphylococcus argenteus, バスキュラーアクセス感染症, NRPS, ST2250 |
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