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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 嫌気培養を必要としないC. Diff選択増菌培地の性能評価
論文言語 J
著者名 大川内 沙織1), 名取 達矢1), 内田 宣邦2), 新井 恵理子1), 堀内 一樹1)
所属 1)信州大学医学部附属病院 臨床検査部
2)関東化学株式会社 技術・開発本部生命科学研究所
発行 臨床微生物:32(4),267─270,2022
受付 令和4年3月9日
受理 令和4年5月30日
要旨  Clostridioides difficileC. difficile)感染症(CDI)の診断において実施されるイムノクロマト法(IC法)は,トキシンの検出感度が十分でないという問題点がある。C. Diff選択増菌培地(C. Diff培地)は嫌気培養を必要としないC. difficileの選択増菌培地であり,黄変したものを陽性として培養液を対象にIC法を行うことで高感度にトキシンの検出が可能である。
 クロストリジオイデス・ディフィシル抗原定性検査依頼のあった糞便100件を用いてtoxigenic culture法(TC法)と比較した本検討では,トキシンの検出感度が糞便からの直接IC法(direct-IC法)で27.3%であったのに対し,C. Diff培地の増菌培養液からのIC法(C. Diff-IC法)では24時間培養で36.4%,48時間培養で72.7%であった。C. difficile発育感度は24・48時間培養ともに85.7%で,特異度はそれぞれ83.5%,75.9%であった。非特異反応もみられるため,培地の色調の変化だけでなくC. Diff-IC法を組み合わせて判定する必要があると考えられた。
 C. Diff培地は好気培養でC. difficileを増菌培養できることから,嫌気培養や遺伝子検査を行うための設備がなく,CDIの検査がIC法に限られる施設において有用であると考えられた。
Keywords Clostridioides difficile, 好気培養, 選択増菌培地, C. DIFF QUIK CHEKコンプリート, CDI
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