学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 タブレット型培地を用いた口腔内細菌の遺伝子検出
論文言語 J
著者名 長嶺 憲太郎1), 木村 留美1), 北川 雅恵2)
所属 1)広島国際大学健康科学部医療栄養学科
2)広島大学大学院医系科学研究科口腔顎顔面病理病態学研究室
発行 臨床微生物:33(1),25─29,2022
受付 令和4年8月1日
受理 令和4年8月31日
要旨  口腔内細菌の中には,う蝕や歯周病等の口腔疾患だけでなく全身疾患にかかわるものがある。これらの口腔内細菌の唾液からの検出・同定には,菌の培養と得られた菌からのDNA抽出およびPCRでの確認が必要となるため,操作が煩雑となり遺伝子検出は普及していない。本研究では,唾液の培養方法を改良しloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法と組み合せることにより,唾液のサンプリングから検出までの操作を簡略化することを目的とした。タブレット型に成形したバシトラシン含有Mitis-Salivarius固形培地をマイクロチューブに入れたものを用意し,各チューブに唾液200 μLを混合し,37℃の恒温槽中に静置した。培養1日後,唾液を直接LAMP反応液に添加し,Streptococcus mutansおよびStreptococcus sobrinusを認識するプライマーを用いて検出した。固形培地を入れたチューブを用いて唾液を培養した結果,S. mutansおよびS. sobrinusを増殖させることができた。また,このとき培養後の唾液からDNA抽出操作なしで直接LAMP反応に用いても増幅できた。本法は簡便に短時間で多数のサンプルを処理するのに適しており,口腔内細菌の検出を汎用的に病院や歯科医院,集団検診などで行えることが期待できる。
Keywords tablet medium, loop-mediated isothermal amplification, oral bacteria, cavity, genetic diagnosis
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