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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Campylobacter curvusによる腸腰筋膿瘍の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
宮本 裕子1), 田澤 庸子1), 古畑 由紀江1), 橋本 幸平1), 髙木 麻有1), 堀内 啓1), 大楠 清文2) |
所属 |
1)NTT東日本関東病院臨床検査部
2)東京医科大学微生物学分野 |
発行 |
臨床微生物:33(1),58─63,2022 |
受付 |
令和4年3月1日 |
受理 |
令和4年8月17日 |
要旨 |
Campylobacter curvusはヒトの口腔内に存在する菌で,まれに肝膿瘍や膿胸などの口腔外感染症を起こすことがある。今回C. curvusによる腸腰筋膿瘍の症例を経験した。症例は60歳代女性で,再燃を繰り返す左鼠径部腫脹を主訴に当院を紹介受診した。CT検査で巨大な腸腰筋膿瘍が認められた。ドレナージの際に採取された膿検体のグラム染色では,白血球に貪食され細く伸長したグラム陰性桿菌が認められた。HK半流動培地(35℃,好気培養)にらせん状のグラム陰性桿菌が認められ,そこから分離したABHK寒天培地(37℃,嫌気培養)には培養3日目に微小なコロニーが発育した。本菌は簡易同定キットでは同定困難で,16S rRNA遺伝子の塩基配列解析によりC. curvusと同定された。本菌による感染症例の報告は世界的に少なく,いずれも遺伝子検査により同定されており,本症例も原因菌の同定に16S rRNA遺伝子の塩基配列解析が有用であった。 |
Keywords |
Campylobacter curvus, 腸腰筋膿瘍, 偏性嫌気性グラム陰性桿菌 |
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