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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
オキサシリン感性mecA陽性黄色ブドウ球菌による菌血症の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
鈴木 裕1), 茜谷 大輔1), 山口 優花1), 根本 信太郎2), 阿部 修一3) |
所属 |
1)山形県立中央病院検査部
2)山形県立中央病院整形外科
3)山形県立中央病院感染症内科 |
発行 |
臨床微生物:33(1),64─68,2022 |
受付 |
令和4年7月12日 |
受理 |
令和4年9月30日 |
要旨 |
mecAを保有しているにも関わらず薬剤感受性試験でオキサシリン感性と判定されるオキサシリン感性メチシリン耐性Staphylococcus aureus(OS-MRSA)による菌血症症例を経験した。患者は発熱と大きな皮下膿瘍を主訴として来院し,膿検体のグラム染色で集塊状グラム陽性球菌を認めたため,MRSA感染症の可能性を考慮して入院初期よりダプトマイシンを投与された。その後血液培養でS. aureusが検出されたが,mecAの保有が確認されたものの,薬剤感受性はオキサシリン,セフォキシチン共に感性であるメチシリン感性S. aureusを示唆しており,遺伝子型と表現型に矛盾を認めるOS-MRSAであった。患者は抗MRSA薬の投与が継続され解熱に至った。OS-MRSAは臨床的にMRSAとして取り扱う必要があると考えられることから,mecAの検出が適正な抗菌薬の使用継続に寄与した症例であった。OS-MRSAの同定には他のmecA陽性菌の混入のないことを確認する必要があり,PSP2a検出試薬やMRSAスクリーニング培地の併用が有用と考えられる。 |
Keywords |
Staphylococcus aureus, OS-MRSA, mecA, 薬剤耐性, 遺伝子検査 |
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