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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 臨床細菌検査で問題になるSmall-colony variants
論文言語 J
著者名 松本 竹久
所属 群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学
発行 臨床微生物:33(2),101─108,2023
受付 令和5年1月18日
受理
要旨  Small-colony variants(SCVs)は,独特の表現型を持つ増殖の遅い細菌の亜集団である。SCVsは増殖速度が遅く,非典型的なコロニー形態と特異な生化学的特性を有しており,臨床細菌検査での同定検査や薬剤感受性検査で正しい結果を得ることが困難になることがある。また,SCVsは野生型に比べ宿主細胞内に定着しやすく,抗生物質に対する感受性が低下することなどで慢性感染症や再発性感染症を引き起こすことがあるとされている。近年においても,様々なSCVs感染症が報告されており,その表現型に至る遺伝子変異が明らかになっていたチミジン依存性やヘミン依存性SCVsに加えて,炭酸ガス依存性やグルタミン依存性SCVsについても原因となる遺伝子変異が明らかになってきた。さらに薬剤耐性SCVsも出現しており,検査室では薬剤耐性の見逃しがないように注意しなくてはならない。
 本総説では,臨床検体から分離される主なSCVsに関連する表現型や原因,細菌検査に関する事項について解説する。
Keywords small-colony variants, SCVs, チミジル酸生合成欠損型SCVs, 電子伝達系欠損型SCVs, 炭酸ガス依存性SCVs
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