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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
群馬県におけるペニシリン低感受性B群連鎖球菌の分子疫学解析 |
論文言語 |
J |
著者名 |
熊川 慎一郎1), 谷本 弘一2), 橋本 佑輔3), 野村 隆浩3), 富田 治芳2,3) |
所属 |
1)伊勢崎市民病院中央検査科
2)群馬大学大学院医学系研究科薬剤耐性菌実験施設
3)群馬大学大学院医学系研究科細菌学 |
発行 |
臨床微生物:33(3),180─188,2023 |
受付 |
令和4年8月16日 |
受理 |
令和5年2月16日 |
要旨 |
Streptococcus agalactiae(Group B Streptococci:GBS)は近年ペニシリン低感受性を示す株が注目されている。厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)の公開情報によると,全国と比較して群馬県でのGBSのpenicillin G(PCG)感受性率は低値である。そこで群馬県の医療機関におけるペニシリン低感受性B群連鎖球菌(Group B Streptococci with Reduced Penicillin Susceptibility:PRGBS)の分子疫学解析を行った。今回解析したPRGBS 33株(2014~2020年)はペニシリン結合蛋白2X(PBP2X)に低感受性化に重要なアミノ酸置換とされるV405A,Q557Eを獲得していた。その中には過去に報告がない585番目のインフレーム変異を起こしている株が存在した。血清型では侵襲性感染症に関連があるとされているIb,III型が多く分離された。MLST解析ではPRGBSで頻回に検出されると報告されているST458は1株も分離されず,代わりに現在のところ群馬県でのみ報告が確認されているST1665が広がっていたことが分かった。このことから,特定株が外部から流入拡散したというよりも地域内で変異を積み重ねつつ広がってきた可能性が考えられた。 |
Keywords |
Streptococcus agalactiae, PBP2X, MLST, PFGE |
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