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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
肺炎球菌ワクチン定期接種化後の首都圏における肺炎球菌の莢膜血清型分布 |
論文言語 |
J |
著者名 |
安藤 隆1), 宮坂 政紀2), 政木 隆博2), 河野 緑2), 永野 裕子3)坂本 和美4), 田村 卓5), 阿部 正樹1), 竹田 宏6), 中田 浩二1,2), 財部 裕季子7), 鈴木 由美子7), 花木 秀明7), 越智 小枝2), 松浦 知和2) |
所属 |
1)東京慈恵会医科大学附属第三病院中央検査部
2)東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座
3)東京慈恵会医科大学附属柏病院中央検査部
4)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター中央検査部
5)東京慈恵会医科大学附属病院中央検査部
6)東京慈恵会医科大学附属第三病院感染制御部
7)北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター |
発行 |
臨床微生物:33(4),260─267,2023 |
受付 |
令和5年1月20日 |
受理 |
令和5年5月10日 |
要旨 |
【背景】ワクチン定期接種化後の市中における肺炎球菌の血清型分布を明らかにするため,首都圏の複数病院で分離された肺炎球菌の血清型と薬剤感受性を調査した。
【対象】2018年1月から2019年3月に東京慈恵会医科大学附属4病院で分離された肺炎球菌179株を対象とした。
【結果】解析株の分離材料は喀痰166株(92.7%),血液5株(2.8%),耳漏・中耳液4株(2.2%),他4株(2.2%)であった。各種ワクチンに含まれる血清型グループの分布は,7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)含有型1株(0.6%),13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)-nonPCV7含有型31株(17.3%),23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン-nonPCV13含有型44株(24.6%),非ワクチン含有型(NV型)103株(57.5%)で,35B型27株(15.1%),3型19株(10.6%),15A型14株(7.8%)の分離頻度が高かった。薬剤感受性はNV型でpenicillin G,meropenemに中間と耐性を示す割合が有意に高く(P < 0.05),同薬剤非感性株の分離頻度が35B型と15A型で高かった。
【結論】PCV7およびPCV13に含まれる3型以外の血清型は低い分離頻度であった。NV型は分離頻度が高く,薬剤耐性傾向を認めた。本研究の結果によりNV型の肺炎球菌に注意すべきことが示唆された。 |
Keywords |
Streptococcus pneumoniae, 13-valent pneumococcal conjugate vaccine, 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine, Japan, 血清型置換 |
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