学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 東京都内の衛生検査所における微生物学的検査の外部精度管理調査成績(2010~2019年度)
論文言語 J
著者名 小田 真悠子1,2), 森内 理江3), 小西 浩之1,4), 坪井 博文5), 石井 良和6)
所属 1)旧 東京都健康安全研究センター精度管理室
2)現 東京都健康安全研究センター食品化学部食品成分研究科
3)東京都健康安全研究センター精度管理室
4)現 東京都福祉保健局誠明学園自立支援課
5)東京都福祉保健局医療政策部医療安全課
6)東邦大学医学部微生物・感染症学講座
発行 臨床微生物:33(4),268─274,2023
受付 令和5年5月8日
受理 令和5年7月4日
要旨  東京都では1982年度から衛生検査所を対象とした外部精度管理調査を開始し,その結果を毎年度報告書にまとめている。本報告は,この調査における微生物学的検査について2010年度から2019年度までの成績を分析し,得られた知見を今後の適切な調査の実施につなげることを目的とした。調査項目は菌種同定およびグラム染色とした。調査試料を衛生検査所へ直接配付するオープン調査および調査である事を伏せて配付するブラインド調査を実施し,菌種同定では両調査の成績を比較した。菌種同定について,不正解率はオープン調査で0%-15.4%(26施設中4施設),ブラインド調査で0%-47.6%(21施設中10施設)であった。また,オープン調査とブラインド調査における成績の比較では,一部の年度で乖離が認められた。菌種同定の方法として,簡易同定キットや質量分析装置を使用する衛生検査所が増加していた。グラム染色について,総合評価がD(不可)の割合は0%-5.9%(17施設中1施設)であった。10年間の調査成績をまとめた結果から,都内の衛生検査所における菌種同定およびグラム染色の検査レベルは良好な水準を維持していることがわかった。今後は従来の調査を継続するとともに,現在の衛生検査所における検査レベルや時代のニーズに合った項目および評価方法等の検討が必要と考えられた。
Keywords 衛生検査所, 外部精度管理, 微生物, 菌種同定, グラム染色
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