学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報


download PDF Full Text of PDF (457K)
Article in Japanese

論文名 グラム染色報告での早期の菌種推定が有効な初期抗菌薬の選択に繋がったLacticaseibacillus paracaseiによる感染性心内膜炎症例
論文言語 J
著者名 園屋 陽平1,4,6), 福田 修2), 太田 悠介3), 齋藤 良一3), 住田 善之1), 金子 幸弘4,5), 佐田 誠6)
所属 1)国立研究開発法人国立循環器病研究センター臨床検査部
2)国立病院機構大阪医療センター臨床検査科
3)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子病原体検査学分野
4)大阪公立大学大学院医学研究科細菌学
5)大阪公立大学大学院医学研究科感染症科学研究センター
6)国立研究開発法人国立循環器病研究センター感染対策室
発行 臨床微生物:33(4),275─279,2023
受付 令和5年4月20日
受理 令和5年5月31日
要旨  今回,我々は血液培養陽性時のグラム染色所見からvancomycinに本質的に耐性を示すことが知られているLactobacillus属を推定し,早期に有効な抗菌薬選択に基づく治療介入が可能となったLacticaseibacillus paracaseiによる感染性心内膜炎症例を経験したので報告する。症例は80歳代女性。入院時に採取した血液培養2セット全てが陽性となり,グラム染色では無芽胞・大型・直線状・連鎖形成のあるグラム陽性桿菌を認めた。Lactobacillus属菌様として担当医に報告し,daptomycin,ceftriaxoneの投与が開始された。抗菌薬投与後に採取された血液培養は陰性であった。早期に有効な抗菌薬を開始したことで,塞栓症の合併は見られなかった。血液培養陽性時を含めた重症感染症治療は時間との戦いであり,臨床側へのグラム染色所見での積極的な情報提供が重要である。
Keywords グラム染色, Lacticaseibacillus paracasei, 経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)
Copyright © 2002 日本臨床微生物学会 All rights reserved.