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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Helicobacter cinaedi菌血症の治療中にBrachyspira pilosicoli菌血症を発症した1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
渡邉 真子1), 八木澤 瞳1), 大江 知宏1), 小橋 澄子2), 吉田 菜穂子3), 黄 英文4) |
所属 |
1)国家公務員共済組合連合会立川病院中央検査科
2)国家公務員共済組合連合会立川病院血液内科
3)順天堂大学医学部熱帯医学・寄生虫病学講座
4)国家公務員共済組合連合会立川病院呼吸器内科 |
発行 |
臨床微生物:34(1),25─29,2023 |
受付 |
令和5年4月24日 |
受理 |
令和5年7月31日 |
要旨 |
Brachyspira pilosicoliは偏性嫌気性グラム陰性らせん菌でヒトや動物の腸管スピロヘータ症の原因菌である。近年,血液培養からの検出報告も散見されるが国内での報告は稀である。今回,Helicobacter cinaedi菌血症の治療中にB. pilosicoli菌血症を発症した1例を経験した。患者は40代男性。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対し化学療法中にH. cinaedi菌血症を発症,cefepimeで治療開始され,菌種同定後amoxicillinに変更。第32病日に,血液培養陰性確認目的で採取した血液培養が9日目に嫌気ボトルのみ陽転,ブルセラHK培地に5日目でフィルム状集落が形成されらせん状のグラム陰性桿菌が観察された。検出菌は簡易キットで同定困難であり,質量分析にてB. pilosicoliと同定された。退院後に内視鏡検査が行われ病理検査で偽刷子縁を認められたため,総合的に腸管スピロヘータ症と診断された。B. pilosicoliは通常の血液培養期間では検出が困難であり,臨床背景や治療経過から培養期間の延長を考慮する事が重要と考えられた。 |
Keywords |
Brachyspira pilosicoli(ブラキスピラピロシコリ), Helicobacter cinaedi(ヘリコバクターシナジー), Blood culture(血液培養), 質量分析(Mass Spectrometry) |
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