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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 表現型試験からAmpC産生が疑われたEscherichia coliにおける獲得性ampC遺伝子の保有状況と微生物学的特徴
論文言語 J
著者名 新谷 知世1,2), 櫻井 亜樹3,4), 濱岸 真奈美1,2), 松井 建二郎1,2), 清 亜樹子4), 鈴木 匡弘4), 土井 洋平3,4)
所属 1)藤田医科大学病院臨床検査部
2)藤田医科大学病院医療の質安全対策部感染対策室
3)藤田医科大学医学部感染症科
4)藤田医科大学医学部微生物学講座
発行 臨床微生物:34(3),184─189,2024
受付 令和6年1月25日
受理 令和6年4月15日
要旨  Escherichia coliにおけるAmpC型セファロスポリナーゼは,プラスミド等を介した獲得性ampC遺伝子,もしくは染色体性ampC遺伝子の発現亢進に由来する。本研究では,表現型試験からAmpC産生が疑われたE. coliにおける獲得性ampC遺伝子の保有状況と微生物学的特徴を調べるため,1医療機関で臨床検体から分離されたE. coli 4,211株のうち,薬剤感受性検査からAmpC産生が疑われ,AmpC/ESBL鑑別ディスクでAmpC陽性と判定された45株を研究対象とし,酵素阻害試験,PCR法による獲得性ampC遺伝子の検出,また一部の菌株に対し全ゲノム解析を実施した。その結果,45株中30株(67%)で獲得性ampC遺伝子を認め,遺伝子型はCIT型が21株(70%,21/30),DHA型9株(30%,9/30)であった。CIT型とDHA型を比較したところ,後者ではAESでESBLと推定される傾向がみられた。獲得性ampC遺伝子非保有15株のうち6株(40%)で染色体性AmpCの産生亢進が疑われた。以上,表現型試験からAmpC産生が疑われたE. coliにおいて高率に獲得性ampC遺伝子が検出された。
Keywords AmpC, Escherichia coli, 獲得性ampC遺伝子
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