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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
進行卵巣癌患者の手術部位感染症によるMetamycoplasma hominis菌血症の一例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
日髙 敏哉1), 早野 聡史2), 加島 雅之2), 緒方 彩乃1), 西澤 莉奈1), 大野 智絵1), 多田隈 理佐子1), 吉田 雅弥1), 山崎 卓1), 正木 孝幸3) |
所属 |
1)熊本赤十字病院検査部
2)熊本赤十字病院総合内科
3)熊本保健科学大学保健科学部医学検査学科 |
発行 |
臨床微生物:34(3),204─208,2024 |
受付 |
令和6年2月6日 |
受理 |
令和6年3月4日 |
要旨 |
28歳女性が左腹部膨満感を主訴に受診し,卵巣がん・多発転移と診断された。腹式子宮単純全摘術および骨盤リンパ節郭清術を施行され,両側後腹膜にドレーンが留置された。術後5日目に発熱し,手術部位感染症が疑われたため,血液培養とドレーン培養が提出された。術後11日目,ドレーン培養からMetamycoplasma hominisが検出されたが,血液培養では陽性反応はなかった。その後,血液培養の培養期間延長し,サブカルチャーを行った結果,血液培養検体からもM. hominisを検出し,菌血症と確定診断した。M. hominisの定着と真の感染症との鑑別には,血液培養からの検出が非常に重要であるが,培養期間の不足やCO2産生をしにくいという微生物学的性質により,血液培養装置でのシグナルが偽陰性となることがある。M. hominis感染症が疑われる場合には,細菌検査室と医師の間で臨床情報および培養情報の共有を行い,適切な培養方法と期間,サブカルチャーの実施などを検討することが重要である。 |
Keywords |
Metamycoplasma hominis, 進行性卵細胞癌患者, 手術部位感染症, 血液培養サブカルチャー |
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