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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 血液培養の陽性判定と同定に苦慮したGordonia sputiによる菌血症の1例
論文言語 J
著者名 松原 未来1), 宮部 安規子1), 齊藤 知子1), 瀬川 俊介1), 鈴木 眞1), 山下 晃司1), 藤川 樹1), 村田 正太1), 石和田 稔彦2,3), 矢口 貴志2), 伊藤 純子2), 奥主 朋子3), 日野 もえ子3), 川崎 健治1), 松下 一之1)
所属 1)千葉大学医学部附属病院検査部
2)千葉大学真菌医学研究センター
3)千葉大学医学部附属病院小児科
発行 臨床微生物:34(3),209─213,2024
受付 令和5年11月23日
受理 令和6年3月18日
要旨  血液培養陽性判定と同定に苦慮したGordonia sputiによる菌血症の1例を経験した。患者は中心静脈カテーテル留置状態で自宅療養中に発熱した6歳女児。血液培養装置の陽性シグナル検知時はグラム染色等にて菌体が確認されず偽陽性と判定した。サブカルチャーし血液培養ボトルを装置へ再装填した後,再び陽性となった。サブカルチャーより発育を認めたコロニーの特徴や各種染色法の結果から,弱抗酸性を有する菌種と疑い,陽性報告を行った。後日,質量分析測定と遺伝子解析から本菌と同定した。本菌は自然界に広く分布し,弱抗酸性を有するグラム陽性桿菌である。免疫不全患者ではカテーテル関連感染症としてGordonia属による感染症が散見され,同定の困難さが問題点となる。患者情報,コロニー,染色性などの情報から菌種推定し迅速な報告につなげることが重要である。また,陽性シグナルの複数回の検知時は菌体の存在を強く疑う必要がある。
Keywords Gordonia sputi, カテーテル感染, 免疫不全患者, 質量分析装置, 弱抗酸性
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