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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
過去10年間に培養に提出された髄液検査所見および分離菌の解析 |
論文言語 |
J |
著者名 |
小玉 陽菜1), 川元 康嗣1), 赤松 紀彦1), 木村 由美子1), 小佐井 康介2), 栁原 克紀1,2) |
所属 |
1)長崎大学病院検査部
2)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学分野 |
発行 |
臨床微生物:34(4),273─278,2024 |
受付 |
令和6年2月20日 |
受理 |
令和6年6月24日 |
要旨 |
我々は,2012年から2021年の10年間に本院の微生物検査室に提出された穿刺のみの髄液検体2,320件の検体数の推移,末梢血液検査,生化学検査および微生物検査結果を後方視的に解析した。また,培養方法の違いによる検査結果の違いについても評価した。検体数は2013年から2017年まで減少し,その後,横ばいであった。培養陽性率は平均6.6%で,10年間を通して大きな変化はなかった。培養陽性の症例を原因菌群と汚染菌群で比較すると,原因菌群では汚染菌群よりも血液中のCRP,髄液多核球割合および髄液蛋白が高く,また髄液糖が低かった。培養陽性検体のうち,固形培地を用いた通常培養陽性が26.0%(40/154),HK半流動生培地を用いた増菌培養のみ陽性が74.0%(114/154)であった。汚染菌を除いた検出菌の内訳は,Staphylococcus aureus(18.8%,13/69)が最も多かった。増菌培養ではCNSのような汚染菌と推察される菌の割合が半数以上を占めていた(65.0%,74/114)。また,嫌気性菌やMoraxella sp.などは増菌培養のみで検出された。今回,過去10年間の髄液検体の検査結果を解析した。原因菌群と汚染菌群を比較すると,検査結果に違いが認められた。増菌培養を用いることで,嫌気性菌やMoraxella sp.などを効果的に検出できる可能性が示唆された。 |
Keywords |
細菌性髄膜炎, 増菌培養, 嫌気性菌 |
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