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日本臨床微生物学会雑誌

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論文名 千葉県こども病院における2001年から2020年の小児由来Streptococcus pneumoniaeの抗菌薬感受性および無菌部位由来株の血清型に関する検討
論文言語 J
著者名 加瀨 葉子1), 草野 泰造2), 山本 翔大2), 佐藤 万里3), 竹内 典子4), 大楠 美佐子4), 石和田 稔彦4), 星野 直2)
所属 1)千葉県循環器病センター検査科
2)千葉県こども病院感染症科
3)千葉県こども病院検査科
4)千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野
発行 臨床微生物:34(4),286─291,2024
受付 令和6年6月20日
受理 令和6年8月13日
要旨  2001~2020年に千葉県こども病院で小児臨床検体から分離されたStreptococcus pneumoniae 4,033株の抗菌薬感受性,無菌部位由来60株の血清型に関する検討を行った。由来検体は下気道が65.3%と最多で,無菌部位由来株は1.9%であった。対象期間をI期(2001~2004年),II期(2005~2008年),III期(2009~2012年),IV期(2013~2016年),V期(2017~2020年)に区切ると,I期からV期にかけてpenicillin G(PCG)感性株(MIC<=0.06 μg/mL)は増加し,耐性株(MIC=>2 μg/mL)は減少していた。また,PCG,amoxicillinのMIC50は4管の改善を認めた。無菌部位由来株では,7価肺炎球菌結合型ワクチン含有血清型株はIV期以降に,13価ワクチン含有血清型株はV期に分離されなかった。PCG耐性株が分離された血清型とその頻度は,19F 66.7%,6B 36.4%,35B 33.3%,23F 28.6%で,35Bを除きPCV7含有血清型であり,全てIII期までに分離されていた。単一施設の検討ではあるが,小児臨床検体由来S. pneumoniaeのPCG感受性は長期的に改善を認めた。無菌部位由来株の傾向より,ワクチンの普及による血清型置換が背景にあると考えられた。
Keywords Streptococcus pneumoniae, penicillin G, 血清型, 肺炎球菌結合型ワクチン
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