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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 ブラインドサブカルチャーが有用であったBartonella henselae血流感染症・感染関連腎炎の1例
論文言語 J
著者名 松井 建二郎1,3), 成宮 利幸2), 林 宏樹2), 塚本 健太郎3,4), 櫻井 亜樹3,5), 土井 洋平3,5,6), 坪井 直毅2)
所属 1)藤田医科大学病院臨床検査部
2)藤田医科大学医学部腎臓内科
3)藤田医科大学医学部微生物学講座
4)大阪大学微生物病研究所附属感染症国際研究センター人獣共通細菌感染症研究グループ
5)藤田医科大学医学部感染症科
6)藤田医科大学感染症研究センター
発行 臨床微生物:34(4),298─302,2024
受付 令和6年5月15日
受理 令和6年6月28日
要旨  症例は高血圧・胸部大動脈解離の既往がある56歳男性。下腿紫斑,遷延する発熱,進行する腎機能障害の精査目的に入院となった。発症前にネコおよびネコノミとの濃厚接触歴があったことからBartonella感染症を疑い血液培養検査が実施された。血液培養ボトルは血液培養自動分析装置(BACTEC FX)に装填され培養が開始された。装填後7日目の時点で陽性シグナルは認められなかったが,培養液の一部を採取しサブカルチャー(ブラインドサブカルチャー)を実施したところ,培養13日目にカリフラワー様のコロニー形成を認めた。分離株のssrA遺伝子・rpoB遺伝子の塩基配列解析を行った結果B. henselaeであることが判明した。血液培養はその後2週間(計3週間)延長培養したが陽転化はみられなかった。B. henselaeの分離・同定にブラインドサブカルチャーが有用である可能性が示唆された。
Keywords ブラインドサブカルチャー, Bartonella henselae
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