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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 血清型同定が臨床的に有用であった乳児期早期サルモネラ症の2例
論文言語 J
著者名 大楠 美佐子1), 石和田 稔彦1), 瀬川 俊介2), 宮部 安規子2), 長澤 耕男3), 神保 智里4), 岡田 広4), 伊藤 久美子5)
所属 1)千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野
2)千葉大学医学部附属病院検査部
3)千葉大学医学部附属病院小児科
4)松戸市立総合医療センター小児科
5)松戸市立総合医療センター検査部
発行 臨床微生物:34(4),303─307,2024
受付 令和6年2月20日
受理 令和6年8月6日
要旨  サルモネラ属菌による乳児期早期のサルモネラ症2例を経験した。1例は市販の抗血清キットでO抗原判定不能な稀な血清型であったが,Multi-locus sequence typing(MLST)解析,O抗原,H抗原のPCR法および塩基配列による解析を行ったところ,分離菌はSalmonella enterica subsp. enterica serovar Pomonaと同定され,本菌による菌血症と診断した。もう1例は,抗血清キットでO抗原18と判定し,さらにMLST解析,H抗原のPCR法および塩基配列解析により,Salmonella enterica subsp. enterica serovar Flunternによる上部尿路感染症と最終診断した。サルモネラ属菌の血清型菌種同定は,臨床上役立った。適合する抗血清が入手できない場合など,サルモネラ属菌の血清型を推測する手法として,分子生物学的手法は有用である。
Keywords サルモネラ菌, 血清型, MLST解析, 乳児
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