 |
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
小児侵襲性GBS感染症の疫学調査から見えてきた課題 |
論文言語 |
J |
著者名 |
石和田 稔彦, 竹内 典子, 大楠 美佐子 |
所属 |
千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野 |
発行 |
臨床微生物:35(2),132─137,2025 |
受付 |
令和6年10月25日 |
受理 |
|
要旨 |
10年以上にわたり実施している千葉県における小児侵襲性B群溶血性レンサ球菌(GBS)感染症の臨床的・細菌学的検討の解析結果を基に,新生児GBS感染症予防の適正化について考察した。小児侵襲性GBS感染症罹患率は,小児へのインフルエンザ菌b型ワクチン,肺炎球菌結合型ワクチンが普及した現在,小児侵襲性インフルエンザ菌感染症,侵襲性肺炎球菌感染症よりも高くなっている。予後に関しては,小児侵襲性GBS感染症の約25%が,神経学的後遺症を残すか死亡していた。髄膜炎を含む新生児の侵襲性GBS感染症予防のためのGBS陽性妊婦に対する分娩時抗菌薬投与は,早発型GBS感染症予防に一定の効果が認められているものの,全ての早発型GBS感染症の予防は困難であり,標準化した母体GBSスクリーニング検査法の導入が必要である。また,遅発型GBS感染症予防のための妊婦へのワクチン接種についても今後検討していく必要があり,分離菌の血清型解析を実施していくことが重要である。また,耐性遺伝子解析を含めた薬剤感受性モニタリングを行い,最適な抗菌薬治療指針を提示していくことも必要である。 |
Keywords |
B群レンサ球菌, 侵襲性感染症, 疫学, 妊婦スクリーニング, ワクチン |
|