 |
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
海外から帰国後に発症したNeisseria meningitidisによる化膿性膝関節炎の一症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
武藤 沙起里1), 小林 あいり1), 清水 裕次郎1), 豊田 千奈美1), 山内 悠子2), 有吉 司3) |
所属 |
1)地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立広尾病院検査科
2)地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立広尾病院感染症内科
3)東京都健康安全研究センター微生物部病原細菌研究科 |
発行 |
臨床微生物:35(3),237─242,2025 |
受付 |
令和7年2月5日 |
受理 |
令和7年5月20日 |
要旨 |
Neisseria meningitidisはグラム陰性双球菌であり,髄液や血液,その他無菌部位より検出された際には,侵襲性髄膜炎菌感染症として5類感染症全数報告の対象に指定されている。今回,海外から帰国後にN. meningitidisによる化膿性膝関節炎を発症した症例について報告する。症例は30代女性。帰国から4日後,右膝痛による体動困難となり当院へ緊急搬送され,精査目的で入院となった。救急外来受診時に採取された関節液と術中採取の滑膜からグラム陰性双球菌が検出された。生化学的性状による同定検査は,IDテストHN-20ラピッドを用いて行い,92%でN. meningitidisと同定された。質量分析装置(Matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry;MALDI-TOF MS)による測定は外部委託し,MALDI Biotyper(ブルカー・ジャパン)にてN. meningitidisと同定された。本菌の精査を国立感染症研究所に依頼したところ,血清群W,遺伝子型(Sequence type,ST):11と解析された。海外渡航歴と解析の結果より,今回のN. meningitidisによる化膿性膝関節炎は,海外からの輸入感染症である可能性が高いと考えられた。 |
Keywords |
海外渡航歴, Neisseria meningitidis, 化膿性膝関節炎, 遺伝子型, 血清群 |
|