学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 急性期高齢者医療専門病院におけるFilmArray Torchシステム新規血液培養パネルBlood Culture Identification 2 panelの導入効果に関する検討
論文言語 J
著者名 野口 穣1), 瀧川 正紀2), 浅見 諒子1), 古川 友子1), 東條 未希1), 小原 朋也3), 前田 陽平3), 佐藤 衛3), 島﨑 良知3), 金谷 育子4), 出﨑 奈美4), 小金丸 博5)
所属 1)東京都健康長寿医療センター臨床検査科
2)東邦大学薬学部臨床薬剤学研究室
3)東京都健康長寿医療センター薬剤科
4)東京都健康長寿医療センター看護部
5)東京都健康長寿医療センター感染症内科
発行 臨床微生物:35(3),243─248,2025
受付 令和7年1月31日
受理 令和7年4月9日
要旨  Blood culture identification(BCID)2パネルは,BCIDパネルと比較してグラム陰性菌やEnterococcus spp.などに対し,耐性遺伝子の検索や菌種同定が可能となり,感染症治療への有用性が期待できる。そこで,急性期高齢者医療専門病院におけるBCIDパネルからBCID2パネルに切り替えた際の臨床的効果を検討した。BCID2パネル導入前後9カ月をそれぞれ第1期,第2期とした。各期間におけるグラム陰性菌,Enterococcus spp.,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌,Bacteroides fragilisの血液培養陽性患者を対象とし,背景を比較した。B. fragilisの中間報告時間は第2期で有意に短縮した(P = 0.044)。Enterococcus spp.の適切な抗菌薬に変更されるまでの日数は第2期で有意に短縮した(P = 0.015)。各菌種で30日死亡率の低下は認められなかった。BCID2パネルは,迅速な検査結果の提供により感染症治療に貢献する可能性が示唆された。一方,死亡率改善にはさらなる検討が必要である。
Keywords Blood Culture Identification 2パネル, FilmArray, 血液培養
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