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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Mycobacterium mageritenseによる胃がん術後創部感染の一例
論文言語 J
著者名 米谷 正太1), 鹿住 裕子2), 荒木 光二1), 広井 愛美1), 奥山 貴洋1), 井田 陽子1), 牧野 博1), 高城 靖志1), 大藤 弥穂1), 大西 宏明3), 渡邊 卓1,3)
所属 1)杏林大学医学部付属病院臨床検査部
2)結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンス部
3)杏林大学医学部臨床検査医学教室
発行 臨床微生物:23(2),112─116,2013
受付 平成25年4月3日
受理 平成25年5月1日
要旨  66歳,男性。胃がん切除術後,発熱が持続のため術創感染を疑い,腹腔ドレナージ術が施行された。採取されたドレナージ排液,手術創部膿の培養検査により,培養48時間後に微小コロニーの発育が認められ,Ziehl-Neelsen染色を実施したところ抗酸性に染まることを確認した。DDH法では同定不能であり,16S rRNA遺伝子,rpoBhsp65の塩基配列解析によりMycobacterium mageritenseと判定した。薬剤感受性検査では,フルオロキノロン系抗菌薬やlinezolidを除き,高いMICを示した。手術創部は迅速発育抗酸菌(rapidly growing mycobacteria:RGM)感染の好発部位となり得るため,RGMを念頭におき検査を進める必要がある。本症例は,主に外科的処置が奏功したと推測されるが,本菌は通常抗結核薬やマクロライド系抗菌薬に対し耐性を示すという特徴を有するため,遺伝子解析を用いた正確な菌種同定と共に薬剤感受性検査を実施することが必要である。
Keywords Mycobacterium mageritense, 迅速発育抗酸菌, 術後創部感染
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