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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
栄養要求性レンサ球菌の検出と同定に関する問題点 |
論文言語 |
J |
著者名 |
江成 博 |
所属 |
岐阜大学生命科学総合研究支援センター嫌気性菌研究分野 |
発行 |
臨床微生物:25(1),10─18,2014 |
受付 |
平成26年11月4日 |
受理 |
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要旨 |
栄養要求性レンサ球菌(nutritionally variant streptococci:NVS)は,栄養要求性が通常のviridans streptocciとは異なる菌群として,従来からnutritionally variant streptococci(NVS),nutritionally deficient streptococci(NDS),nutritionally variant streptococci(NVS),satellite streptococci,thiol dependent streptococciなどと総称されていた。Bouvetらにより,これらの菌群はStreptococcus defectivus,Streptococcus adjacensと命名された。その後,StreptococcusからGenus Abiotrophiaへの転属と2菌種の追加,さらにA. defectiva以外の3菌種のGenus Granulicatellaへの転属を経て現在に至っている。NVSのなかでミンククジラ(Balaenoptera acutorostrata)から分離されたGranulicatella balaenopterae以外のAbitotrophia defectiva,Ganulicatella adiacens,Granulicatella elegansはすべてヒト常在菌叢に存在し,臨床材料からも分離される。とりわけ感染性心内膜炎(Infective endocarditis:IE)の起炎菌としてpenicillin tolerance株が存在する点で重要である。NVSの菌種レベルでの同定は困難とされてきたが,遺伝子解析,質量分析法(MALDI-TOF-MS)により容易に同定可能となった。しかしながらNVSによるIEの存在は50年以前から知られていたにも関わらず,今もって治療が困難な疾患の一つである。本稿では菌種レベルの同定以前にNVSの確実な検出と類縁菌との鑑別法に焦点を絞ってreviewを進めることとする。 |
Keywords |
nutritionally variant streptococci, satellitism test, "Autosatellitism", pyrrolidonyl arylamidase, penicillin-tolerant |
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