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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 伴侶動物(犬,猫)における細菌検査について
論文言語 J
著者名 露木 勇三1,2,3), 高橋 孝3)
所属 1)株式会社サンリツ臨床検査部
2)株式会社サンリツセルコバ検査センター臨床検査部
3)北里大学北里生命科学研究所感染症学研究室
発行 臨床微生物:26(4),291─296,2016
受付 平成28年7月27日
受理
要旨  現代社会において伴侶動物(コンパニオンアニマル)は,ヒトの生活になくてはならない存在である。それに伴って伴侶動物に対する獣医療の進歩は目覚ましいものの,細菌検査に関しては簡易法が用いられているのが現状である。本稿では,ヒト臨床検査の技術や精度管理手法を用いた細菌検査について報告する。試料は,全国における約10%の動物病院から採取された検体を採用した。伴侶動物における細菌検査として需要のある犬膿皮症では,起炎菌であるブドウ球菌属のメチシリン耐性率が問題となる。尿培養検査では分離最上位のEscherichia coliは40%を超える基質拡張型βラクタマーゼの保有率であった。第一選択薬となる第3世代セファロスポリン系動物用抗菌薬の使用も一因であると示唆された。血液培養検査では,微量な採血量で検査可能な血液培養ボトルを用いて検査を実施した結果,ヒトと同様に伴侶動物おいても血流感染が認められた。また,伴侶動物における薬剤耐性対策の一環として伴侶動物の診断・治療ガイドラインの作成状況や獣医師によるヒト医療を考慮した抗菌薬治療についても報告する。
Keywords 伴侶動物, 動物病院, 犬膿皮症, メチシリン耐性ブドウ球菌, 尿培養, 基質拡張型βラクタマーゼ産生大腸菌, 血液培養, 薬剤耐性対策
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