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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
GENECUBEで偽陽性反応を示した非結核性抗酸菌の2症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
山下 有加1), 諸熊 由子1), 持丸 朋美1), 西田 留梨子1,2), 清祐 麻紀子1), 堀田 多恵子1), 村田 昌之3), 下野 信行4), 康 東天1,5) |
所属 |
1)九州大学病院検査部
2)九州大学大学院医学研究院病態修復内科学
3)九州大学病院総合診療科
4)九州大学病院グローバル感染症センター
5)九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野 |
発行 |
臨床微生物:27(4),306─312,2017 |
受付 |
平成28年12月9日 |
受理 |
平成29年4月26日 |
要旨 |
今回我々は,抗酸菌PCR検査機器であるGENECUBEでMycobacterium avium complex(MAC)偽陽性反応を示した非結核性抗酸菌の2症例について本邦で初めて報告する。症例1は80代女性。喀痰から抗酸菌が検出され,GENECUBEでMAC陽性となったが,小川培地上では黄色の発色コロニーを形成した。遺伝子解析の結果,Mycobacterium lentiflavumと同定された。症例2は30代男性,不特定多数の異性・同性との性的接触歴があり,HIV感染症と診断された。血液培養,骨髄液,喀痰,便検体から抗酸菌が検出され,いずれもGENECUBEでMAC陽性となったが,半年以上培養しても小川培地に未発育であった。遺伝子解析の結果,Mycobacterium genavenseと同定された。検査材料や液体培地培養液からのPCR測定は迅速である反面,集落所見との妥当性が評価できない欠点がある。PCR法による迅速報告後にも,臨床所見や他の関連検査項目にも留意し,総合的に結果を最終判断することが重要である。 |
Keywords |
MAC偽陽性, Mycobacterium lentiflavum, Mycobacterium genavense, GENECUBE, 非結核性抗酸菌 |
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