日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	プラスチック製容器を使用した抗酸菌用培地「工藤PD培地（プラ）」の性能評価
論文言語	J
著者名	五十嵐　ゆり子1）, 近松　絹代1）, 青野　昭男1）, 小嶋　由香2）, 菊池　眸2）, 吉本　雄太3）, 玉井　清子3）, 森本　耕三4）, 山田　博之1）, 髙木　明子1）, 御手洗　聡1）
所属	1）公益財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌部 2）川崎市立井田病院検査科 3）株式会社ミロクメディカルラボラトリー 4）公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器内科
発行	臨床微生物：28（1），29─34，2017
受付	平成29年8月21日
受理	平成29年10月10日
要旨	プラスチック容器を使用した工藤PD培地（プラ）（日本ビーシージー製造）を，既存のガラス容器を用いた工藤PD培地（日本ビーシージー製造）および2％小川培地SP（極東製薬工業，プラスチック製容器使用）と共に発育支持力を比較評価した。被検菌はMycobacterium tuberculosis，Mycobacterium avium，Mycobacterium abscessusの臨床分離株各9株，同菌種の基準株3菌種の計30株を使用した。被検菌をマイコブロス（極東製薬工業）に接種し，OD₅₃₀ = 0.2になるまで培養した。培養液をリン酸緩衝液で10¹倍から10⁸倍の8段階に希釈し，各希釈液0.1 mLを各培地へ接種し，37℃で培養した後，集落数を半定量的にカウントした。算出したCFUを一元配置分散分析法で解析した結果，3菌種とも各培地どうしに有意差は無かった（p>0.05）。結果が培養陰性と培養陽性に乖離した場合は全て，一方の培地が陰性で他方の培地が1＋の結果であった。高さ1.5 mから床へ培地を落下させ容器破損の有無を調べる落下試験では，ガラス容器製の工藤PD培地を横に寝かせた状態で落とした場合のみ容器が破損し，プラスチック容器の培地に破損は認められなかった。工藤PD培地（プラ）は従来の工藤PD培地および2％小川培地SPと同等の発育支持力を示した。ガラス容器を用いた培地は落下による破損といったバイオハザード上の問題があることから，プラスチック容器工藤PD培地は抗酸菌の安全な培養に有用であると考えられた。更なる安全性の向上のためにスクリューキャップへの変更が望まれる。
Keywords	抗酸菌培養, プラスチック容器, 工藤PD培地, 2％小川培地