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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Actinotignum schaalii(旧Actinobaculum schaalii)が血液培養から検出された4例
論文言語 J
著者名 米谷 正太1), 荒木 光二1), 井田 陽子1), 広井 愛美1), 奥山 貴洋1), 平尾 千尋1), 本間 慎太郎1), 髙城 靖志1), 大西 宏明1,2)
所属 1)杏林大学医学部付属病院臨床検査部
2)杏林大学医学部臨床検査医学教室
発行 臨床微生物:28(1),35─41,2017
受付 平成29年3月14日
受理 平成29年7月20日
要旨  Actinotignum schaaliiは,コリネフォームを呈する通性嫌気性グラム陽性桿菌であり,尿路感染症の起因菌としての報告が散見される。今回我々は血液培養からA. schaaliiを検出した4症例を経験した。4症例とも入院時に採取した血液,尿培養検体から本菌が検出され,尿路感染を契機とした菌血症と考えられた。いずれもMALDI-TOF MSによる解析と16S rRNA遺伝子の塩基配列解析の両者の結果が一致し,本菌と同定された。従来,本菌の同定には遺伝子検査を必要としたため報告例は少なかったが,質量分析を用いた菌種同定の普及により検出例が増加している。本菌には嫌気培養や5%炭酸ガス培養が必要であるが,尿検体では通常はこれらの培養を実施していない施設もあり,見落とされていた可能性もある。尿路感染を疑う症例において血液培養でコリネフォームのグラム陽性桿菌が観察された場合には,本菌の可能性も念頭に置く必要がある。
Keywords Actinotignum schaalii, MALDI-TOF MS, 尿路感染症, 血液培養
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