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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Chlamydia trachomatisとその診断法
論文言語 J
著者名 高橋 聡
所属 札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座
発行 臨床微生物:28(2),77─82,2018
受付 平成30年1月9日
受理
要旨  Chlamydia trachomatisは,性感染症の主要な病原微生物であり,男性の尿道炎と子宮頸管炎が代表的な疾患である。一般的な細菌の標準検出法である分離培養法は,C. trachomatisに関しては,処理が煩雑であり,臨床現場では診断の支援とならない。そのため,C. trachomatisの抗原を検出する検査法が開発された。その後,C. trachomatisの診断法は,変遷しており,従来の抗原検出法は,核酸増幅法の普及とともに用いられなくなってきている。核酸増幅法は,高感度,かつ,高特異度であり,男性の初尿を検体とすることも可能となり,医療者としても患者にとっても有用性を増した。核酸増幅法を用いた検出法では,5種類の検査キットが使用可能となっているが,実臨床での感度には大きな相違はない。一時期注目された,核酸増幅法で検出ができない変異株についても,増幅標的を複数にすることによって改良された。核酸増幅法の検査では,多くの施設から検体を集めて測定をする体制となっている。しかし,検査結果の報告までに数日を要することから,今後は,迅速核酸増幅法による検査が普及してくると考えられ,この検査により,より正確な診断結果を伝えることができ,より適正な治療法を選択することができるようになる。近い将来,C. trachomatisの診断法は,さらに改良されるだろう。
Keywords Chlamydia trachomatis, 診断, 検出
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