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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 全自動遺伝子解析装置GENECUBEを利用したMycoplasma pneumoniaeのマクロライド耐性遺伝子変異検出法の構築および評価
論文言語 J
著者名 川嶋 洋介1), 上倉 佳子2), 山下 計太3), 野竹 重幸3), 中村 浩司3), 木全 伸介2), 曽家 義博1), 鈴木 広道4,5)
所属 1)東洋紡株式会社診断システム事業部
2)東洋紡株式会社敦賀バイオ研究所
3)筑波メディカルセンター病院臨床検査科
4)筑波メディカルセンター病院臨床検査医学科
5)筑波メディカルセンター病院感染症内科
発行 臨床微生物:28(2),98─105,2018
受付 平成29年7月18日
受理 平成29年10月19日
要旨  近年マクロライド耐性を有するM. pneumoniaeが増加している。マクロライド耐性化には23S rRNAの構造変化に関与する遺伝子変異が関わる。M. pneumoniaeのマクロライド耐性を確認する方法として,ダイレクトシークエンスや融解曲線解析による23S rRNA遺伝子変異の検出が用いられる。我々は全自動遺伝子解析装置GENECUBEを使用し,PCR-Quenching Probe(QProbe)法によりM. pneumoniaeの23S rRNA遺伝子を検出し,主要なマクロライド耐性遺伝子変異である2063位および2064位の置換変異の有無を確認する検出系を構築した。本検出系を用いた融解曲線解析によって,23S rRNA遺伝子の2063位または2064位の変異の有無は明確に区別された。最小検出感度は25コピーであり,M. pneumoniae以外のMycoplasma属細菌5種およびMycoplasma属以外の細菌15種との交差反応を示さなかった。この検出系を用いて832例の咽頭後壁擦過物を測定したところ,M. pneumoniae陽性は261例,陰性は571例であった。M. pneumoniae陽性例のうち検体抽出液の保管が可能であった217例を対象にダイレクトシークエンスによる23S rRNA遺伝子の変異解析を行った。シークエンス解析が可能であった173例のうち野生型であると確認された82例について,本検出系で得られた融解曲線の検出ピークの温度は57.5±1.16℃(平均±2×標準偏差)であり,変異型であった91例について,本検出系で得られた融解曲線の検出ピークの温度は47.8±1.85℃(平均±2×標準偏差)であった。本検出系の測定結果から推測された遺伝子型はダイレクトシークエンスによる23S rRNA遺伝子の解析結果と100%一致した。
Keywords Mycoplasma pneumoniae, PCR, macrolide resistance, GENECUBE, QProbe
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