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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
MALDI-TOF MSによりHaemophilus haemolyticusと同定された臨床分離株の生化学的性状に関する検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
藏前 仁1), 松井 奈津子1), 犬飼 ともみ1), 中村 友紀1), 川口 公平2), 中村 清忠1) |
所属 |
1)刈谷豊田総合病院臨床検査・病理技術科
2)栄研化学株式会社生物化学第一研究所 |
発行 |
臨床微生物:28(2),106─111,2018 |
受付 |
平成29年4月17日 |
受理 |
平成29年10月20日 |
要旨 |
当院において2016年4月から8月の期間に臨床検体より分離されたHaemophilus属菌のうち,matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectometry(MALDI-TOF MS)によりHaemophilus haemolyticusと同定された75株を対象として,生化学鑑別性状の多様性について検討した。その結果,X,V両因子を要求し,ウマ血液寒天培地上で溶血性を示す典型的な性状を示した株は6株(8.0%)に過ぎず,X,V両因子要求性で非溶血株は26株(34.7%)であった。さらにV因子要求性が43株(57.3%)分離されH. haemolyticusが多様な性状を示した。Haemophilus属菌の同定においてはH. influenzaeとの鑑別がとくに重要であるが,日常検査においてX,V両因子要求性で非溶血型のH. haemolyticusとH. influenzaeとの鑑別は困難である。しかしながら本検討にて実施した,スクロースとマンノースの糖分解性試験の結果,V因子要求性のH. haemolyticusの全ての株がスクロースを分解し,X,V両因子要求性株の62.5%がマンノースを分解することが明らかとなり,H. influenzaeとの鑑別性状としてある程度有用であった。日常検査にて実施可能な鑑別方法として,糖分解性試験はH. influenzaeの同定精度を向上させることが明らかとなった。 |
Keywords |
Haemophilus haemolyticus, MALDI-TOF MS, 同定, 生化学鑑別性状 |
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