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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Corynebacterium tuberculostearicumによる難治性乳腺炎の1症例
論文言語 J
著者名 北川 大輔1), 岡 美也子1), 枡尾 和江1), 吉村 豊1), 中村 文彦1), 中村 彰宏2)
所属 1)地方独立行政法人奈良県立病院機構奈良県総合医療センター中央臨床検査部
2)天理医療大学医療学部臨床検査学科
発行 臨床微生物:28(2),126─131,2018
受付 平成29年8月28日
受理 平成29年12月11日
要旨  症例は30代女性。1ヵ月前から右乳房腫脹および疼痛が出現したため,当院外科を受診した。乳腺炎の診断で,セフカペンピボキシルおよびドリペネムを投与されたが改善をせず,発熱と局所所見の悪化を認めたため入院となった。入院当日の膿瘍穿刺液のグラム染色において,多数の白血球と少数のグラム陽性桿菌を認め,培養8日目に僅かに5%ヒツジ血液寒天培地上に発育を認めた。生化学性状では菌種同定できず,脂質添加培地で発育増強を認めたため,Corynebacterium kroppenstedtii 16S rRNA遺伝子を標的としたPCRを実施したが陰性であった。次にMALDI-TOF/MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)による質量分析を実施したところCorynebacterium tuberculostearicumと同定され,更に16S rRNA broad-range PCR解析でも同菌と同定された。ドレナージとレボフロキサシン投与により,症状は軽快した。脂質好性Corynebacteriumによる乳腺炎は,水溶性のβラクタム系抗菌薬は無効である可能性が高く難治化することが多い。正確な菌種同定に至らなくとも脂質好性Corynebacteriumであることを迅速に報告し主治医とこの情報を共有することが重要と考えられた。
Keywords Corynebacterium tuberculostearicum, 脂質好性Corynebacterium
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